Photo: Hisayoshi Mitsumata
Producer:Toppan
Costume collaborate with: Mai Tsujimoto
さて、忘れた頃にやってくる
会場で多かったQ&Aです(※学術的な側面を省きます):
–『時間』と『かたちのない宇宙』とは?
この作品は、『かたちのない宇宙』というテーマのもとに展開される、
訪れる人々、私の人生そのものについての媒体のない映画です。
作品の存在する空間にある全ての要素が可能性に満ちた必然であり、
堆積する『屑』は訪れた人々により紡ぎ出された時間の軌跡の象徴です。
時間そのものを表すだけならば、
まるやばつで十分ですが
私達の人生はそれらで体現できるほど単純ではない。
核心に近づけば近づく程、
求めれば求めるほど謎が深まり、
何も知らないと言うことを知るばかりのようです。
分かった、という感覚はまだ物事の輪郭にも到達していないのか。
イメージは、遠くから見て形があり
近づくとディテールが形を壊すように描いてあります。
化学とテクノロジーが発展した先、
必ず直面するのは、私は誰かという問いです。
自身の存在する意味と価値は、永久に不明ですが
不毛な問いだとわかっていても問い続ける。
たった一つ確かな事実、それは絶対的な死と私達は今生きているということです。
そして、その生と死のサイクルは連鎖し
宇宙を模ってゆく
『かたちのない宇宙』とは、
自己[自身]の内側に広がる世界と
その外側に広がる壮大な宇宙の生命のサイクルの事です
そして歓喜、絶望、官能の間で揺れ動く人間の存在そのものを現します。
なにもないところから、構造体と輪郭を想起し創造するのは人間であり常に進化と変容を繰り返しています。
そのため、このプロジェクトのプロセスが止まることはありません。
「生きてるのはいいもんだよ。とても、おもしろい。」
—「夢」黒澤明:笠智衆の台詞より
ヴェンダースの「ベルリン天使の詩」、
黒澤明の「夢」を見て、映画を撮りたいと15才の頃に思い
あれからずっと、媒体を変え続け、今は媒体のない映画を鉛筆という、生まれてから人間が初めて創造するために握るツールにより創っています。